人の骨格は206個の骨から成り立ち、骨格により内臓や脳などの人体の他の器官が保護されています。
筋肉はそれぞれの骨に付着し収縮することで各関節に動きに動きを与えていますが、骨の役割はそれだけでなくミネラルの貯蔵と骨髄で血球を生産し、造血作用を営む重要な役割も持ちます。
人体の筋肉は約600もの筋肉がありますが、そのほとんどは手や足の中にあるとても小さな筋肉(内在筋)です。
このブログではそのような小さな筋肉は省略して、特に身体活動に関わる大きな筋肉を100ほど、分かりやすい画像やイラストなどで軸骨格(頭蓋・脊柱・肋骨・胸骨)、付属骨格(上肢・下肢・肩甲帯・骨盤帯)の部位ごとに解説しています。
また、筋肉骨格の解剖学的な情報に加え、人体の筋肉骨格系には構造的に弱く、ケガや損傷が生じやすい部位もありますし、腹筋などの筋力不足が骨盤を前傾させ腰部を慢性的に屈曲位にしてしまい、それが腰痛の原因となることも多くありますので、筋肉を柔らかくできるストレッチや筋力強化法、筋肉の緊張やコリをとれるセルフマッサージのコツなども解説していますので、様々な体のお悩み解消のためにもお役立てください。
運動選手はスキルアップやケガの予防のためにもある程度の体への知識は不可欠ですし、健康な日常を送るためにもある程度の自分の体への知識やセルフケアを知って実践することは重要です。
このブログで解説している身体に関する情報がお役に立てれば幸いです。
体幹と脊柱の筋肉・骨格
体幹と脊柱を動かす筋肉は脊柱を動かす機能の他に呼吸を補助します。
主に呼吸の関与するのは胸郭にある筋肉ですが、体幹の前面~側部を覆う腹筋群もまた呼吸に深く関与します。
体幹は身体の動きの軸となる部位ですが、内臓が活動を営み、脊柱には脊髄神経から枝分かれする31対の神経根があります。
脊柱は生理的湾曲という自然なカーブを保っていますが、筋力不足や疲労の蓄積、老化などでこの生理的湾曲が保てなくなり、様々な不定愁訴の原因となりえることが多くあり、また私たちのライフスタイルは慢性的に腰部を曲げやすい(屈曲位)ので、特に腰部の生理的湾曲(腰椎の前弯)を失いやすい部位です。
体幹と脊柱の骨格と関節
脊柱は仙骨の上に5個の腰椎、12個の胸椎、7つの頸椎があり、それぞれの椎骨の間にはクッションの役割をする椎間板(椎間円版)が挟まっています。
脊柱の動きは主に頸椎と腰椎で起こり、それに比べたら胸椎の動きはわずかなものでしかありません。
第一頸椎(環椎)と第二頚椎(軸椎)の関節は環軸関節と呼ばれ、この関節を除いては脊柱の個々の関節の動きは小さなものですが、個々の動きが全体的に連動することで大きく複雑な動きが可能になっています。
体幹と脊柱を動かす筋肉
体幹と脊柱の動きには数多くの内在性の小さな筋肉も関与しますが、ここでは体幹と脊柱の動きに強くかかわる大きな筋肉を9個解説しています。
脊柱の動きに作用する最大の筋肉は脊柱起立筋で、脊柱起立筋は3つの大きな筋肉(腸肋筋・最長筋・棘筋)で構成されますが、各筋肉は更に位置により腰部・胸部・頸部に分類されるので、脊柱起立筋は9つの筋群のより成り立つとも言えます。
頸部の動きには胸鎖乳突筋と板状筋、腰部の動きには腹直筋・外腹斜筋・内腹斜筋、腰方形筋などの大きな筋肉が関与します。
股関節と骨盤帯の筋肉・骨格
骨盤は左右の寛骨が後方で仙骨と仙腸関節で接している構造で、寛骨と人体で一番長い骨である大腿骨が股関節(寛骨臼大腿関節)を構成します。
股関節の動きはとても大きく力強いものです。球関節の仲間、臼関節に分類される股関節は多方向に非常に大きな可動域を持つ関節ですが、その構造や強力な靭帯、そして股関節を動かす大きな筋肉のサポートにより非常に安定した関節と言えます。
骨盤と股関節の構造
骨盤を構成する寛骨は腸骨・恥骨・坐骨の総称で、もともとは軟骨結合している別々の骨ですが、大人になり成長すると融合して一つの骨となります。
寛骨は下腹部内臓を保持するという役割も持ちますが、大きな腸骨の中心部には骨髄が豊富にあります。
骨髄は骨の中心にある造血組織です。血液(白血球、赤血球、血小板)は骨髄で造られ、血管を通じ全身を巡ります。酸素を運ぶ赤血球、免疫を司る白血球など、若いころは骨髄で盛んに作られ、年齢を重ねるごとにその機能は衰えていきます。
膝関節の筋肉・骨格
大腿骨と脛骨が構成する膝関節は一般的には蝶番関節に分類され、屈曲と伸展のみが可能な関節ですが、屈曲時には内旋と外旋が可能になります。
体重を支えて歩行するという動作は非常に大きな圧力と負担を膝関節にかけますが、強力な伸筋と屈筋、強力な靭帯により支持されているので、様々な状況に対応できる機能を持っています。
膝関節の構造と動き
膝関節の動きは単純ですが、非常に大きな可動域を持っています。一般的な膝関節の可動域は0°の伸展位から約140°の屈曲まで、完全な伸展位では膝は外旋と内旋はほとんどできませんが、膝関節が30°以上屈曲すると30°の内旋と45°の外旋が可能になります。
膝関節を動かす筋肉
主に太ももの筋肉が膝関節の動きに関与し、位置的にみるとハムストリングスなどの大腿後面の筋肉が膝関節の屈曲に関与し、ふくらはぎの腓腹筋は足関節と膝関節をまたぐ二関節筋で、足関節を底屈とともに膝関節の屈曲にも関与します。
大腿前面の筋肉が膝関節の伸展に関与し、大腿前面の筋肉は大腿四頭筋(だいたいしとうきん)で、膝を強力に伸展させる筋肉でジャンプ筋とも呼ばれ、大腿四頭筋は大腿直筋・外側広筋・中間広筋・内側広筋の4つの筋肉の総称で、4つ合わせて人体で一番大きい筋肉だとされています。
足関節と足の筋肉・骨格
足は26個の骨、19の大きな筋肉がありますが、足の内部には多数の内在筋や100以上の靭帯により保持されていてとても複雑な構造をしています。
ここでは足関節と足の指を動かす大きな筋肉を11ほどご紹介していますが、ふくらはぎ~足関節は常に身体の重みを受け強い負担にさらされている部位で問題の生じやすい部位でもあり、積極的な筋力強化や柔軟性向上などの機能強化のトレーニングが望ましい部位です。
足関節と足の骨格と動き
足関節とは距骨と脛骨、腓骨で構成される関節ですが、体重は脛骨のみを経て距骨と踵骨に伝わります。
肩甲帯の筋肉・骨格
肩甲帯とは肩甲骨と鎖骨の構成で、一般的に一つのユニットとして働き、肩甲帯の動きは肩甲骨の動きとしてとらえると理解しやすいでしょう。
肩甲帯の動き
主な肩甲骨の動きは6つあり、外転と内転、挙上と下制、上方回旋と下方回旋があります。
肩甲骨の動きの軸(中心)は胸鎖関節で、骨格による軸骨格(体幹の骨格)への連絡路は唯一ここだけで胸鎖関節では動きが大きく、肩鎖関節では動きが少ないのも特徴です。
肩関節の筋肉・骨格
肩関節の動きは非常に大きく多方向に動ける関節です。
肩関節は可動性の大きい関節ですがそれゆえに不安定な関節で、脱臼や亜脱臼の起こりやすい関節とも言えます。
また肩関節は肩甲帯(肩甲骨)と一緒になって動くので、肩関節の動きを理解するには肩甲帯の動きも理解する必要がありますが、単に肩関節の動きを上腕骨の動きとして理解するのも混乱を避けるためにいいかもしれません。
肩関節の動き
上腕骨と肩甲骨の関節が肩関節です。
肩関節は上腕肩甲関節ともいますが、可動関節の中で特に可動性の高い球関節に分類されます。
肩関節の主な動きには、屈曲と伸展、外転と内転、外旋と内旋、水平屈曲と水平伸展があり、肩甲帯(肩甲骨)の動きと対になって動きます。
肘関節・橈尺関節の筋肉・骨格
肘関節と橈尺関節は上肢の動きのほとんどに関与します。
この2つの関節はとても近くにあり、ほぼ同時に働くので、一つの関節の単独の動きを見極めるのは困難です。
肘関節は蝶番関節で動きは大きいですが、屈曲と伸展の動きしかできず、前腕をねじるような動き(回外と回内)は橈尺関節により可能になります。
また橈尺関節の動きは手関節の動きとも混同されやすいのですが、肘関節、橈尺関節、手関節はそれぞれ独立した関節で、動きも独立したものであると理解しておいてください。
手関節の筋肉
非常に多くの筋肉が手関節(手首)と指を動かすために使われ、この部位には29個の骨、25以上の関節、30以上の筋肉がありますがその半分ほどは手の中にある内在性の筋肉です。
構造的に人体のこの部位は非常に高度に発達して、とても複雑な動作をこなせるようになっています。
手首の動きには多くの内在筋も関与しますが、大きな筋肉では手首だけを動かす筋肉や手の指を動かす筋肉などが関与します。
手首と指の動き
手首の動きは手関節、橈骨と手根骨(舟状骨・三角骨・月状骨)の間で起こり、手首の動きは手首を曲げたり反らしたりする動き、屈曲・伸展があり、親指側に手首を傾ける動きは手首の外転(橈屈)、小指側に手首を傾ける動きは内転(尺屈)といいます。
手の指の動きは屈曲と伸展だけが可能ですが、中手指節間関節だけは内在性の筋肉により外転と内転が可能です。
また母指と他の四指では別々の筋肉が指を動かします。
知っておいて損はないセルフケアと体の使い方
- 身体を柔らかくする方法
- 股関節を柔らかくする方法
- 腰を柔らかくする方法
- なにはなくとも深い呼吸を覚えよう
- 身体はここから鍛えてほしい
- 気と身体の使い方