長母趾伸筋は名称の通り、足の母趾(親指)を伸展させる筋肉ですが、足関節の背屈にも強く作用する筋肉です。
長母趾伸筋の解説
長母趾伸筋は腓骨から足首前面を通り、細い腱となって母趾の趾骨(末節骨)に付着する筋肉です。
長母趾伸筋が収縮することにより、母趾が伸展、足関節が背屈することができます。
長母趾伸筋の起始部:
腓骨前面の内側中部
長母趾伸筋の停止部:
母趾の末節骨底
長母趾伸筋の機能
母趾の伸展、足関節の背屈
長母趾伸筋の起始部
長母趾伸筋の起始部は腓骨の前面の更に内側です。
腓骨は脛骨と遠位と近位で靭帯結合の半関節を構成しますが、ここでは最低限の動きしかありません。
腓骨と脛骨、距骨が足関節(距腿関節)を構成し、長母趾伸筋の足関節の背屈の働きはここで起こります。
長母趾伸筋の停止部
長母趾伸筋の停止部は母趾の末節骨底です。
他の四指の趾骨は3本(基節骨・中節骨・末節骨)ありますが、母趾は趾骨が2本(基節骨・末節骨)しかありません。
長母趾伸筋の神経支配
深腓骨神経(L4,5、S1)
長母趾伸筋の触診
長母趾伸筋は母趾の足背部で触診することができます。
長母趾伸筋の拮抗筋
長母趾伸筋が母趾を伸ばし、長母趾屈筋が母趾を曲げる筋肉です。
また長母趾伸筋は3つの背屈筋(前脛骨筋・長趾伸筋・長母趾伸筋)の一つで、足関節を底屈させる主働筋には腓腹筋やヒラメ筋などがあります。
長母趾伸筋の働き
長母趾伸筋は母趾の伸展、足関節の背屈の働きを持ちます。
母趾の伸展
足の指(足趾)を足の甲に向けて反らせる動きが母趾や足趾の伸展の動きです。
長母趾伸筋が母趾を伸展させ、長母趾屈筋が母趾を屈曲させます。
母趾の伸展は母趾の中足趾節関節(MP関節)で約70°、母趾の趾節間関節(IP関節)では0°の伸展位から約90°の屈曲が可能です。
また母趾以外の四指は、長趾伸筋が伸展させ、長趾屈筋が屈曲させます。
足関節の背屈
長母趾伸筋の足関節の背屈の動きとは、足が脛骨に向かう動きで長趾伸筋のような下腿前面にある筋肉が関与します。
足関節の背屈は距腿関節で起こり、約15~20°の背屈が可能です。
足関節の背屈筋
機能強化
長母趾伸筋だけを機能強化するには母趾の動きに抵抗をかけたり、母趾だけをストレッチングすればよいのですが、長母趾伸筋、長趾伸筋、前脛骨筋、この3つの筋肉は協調して背屈筋として働くので、足首を背屈させて「かかと歩き」をすることで鍛えることができます。
長母趾伸筋の筋力強化
「かかと歩き」の他に、足関節を背屈させ更に母趾の伸展に対して抵抗をかけることで長母趾伸筋は更に強化することができます。
長母趾伸筋のストレッチング
長母趾伸筋は足関節を底屈、足を内反しておき、更に母趾を他動的に屈曲位に持っていくことでストレッチングすることができます。
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