長母指外転筋の主な働きは母指を手根中手関節で外転(撓屈)させることですが、長母指外転筋は手関節の橈骨側をまたぐので手首の外転(撓屈)の補助にも作用します。
長母指外転筋の解説
長母指外転筋は前腕の後面(橈骨と尺骨の中部後面)に起始部を持ち、手関節の橈骨側を走行して母指の甲側の中手骨近位骨底に停止します。
長母指外転筋が収縮することにより、母指の手根中手関節で外転(撓屈)が生じ、また長母指外転筋は手首の外転(撓屈)の動きも補助する筋肉です。
起始部:
橈骨と尺骨の中部後面
停止部:
母指の中手骨近位骨底(甲側)
機能:
母指の外転(撓屈)、手首の外転(撓屈)
長母指外転筋の起始部
長母指外転筋の起始部は前腕の二本の骨、橈骨と尺骨の中部後面です。
この2本の骨は橈尺関節を構成し、前腕の動き(回外と回内)は橈尺関節で生じる動きですが、長母指外転筋は前腕の動きにはほとんど関与しません。
長母指外転筋の停止部
長母指外転筋の停止部は母指の中手骨近位骨底(甲側)です。
手の指の中手骨から先の指骨は母指は骨が一本少なく、基節骨・末節骨の構造です。
手の中手骨は手根骨と手根中手関節、指骨と中手指節関節を形成し、長母指外転筋が収縮することにより母指の手根中手関節で外転の動きが生じます。
神経支配
橈骨神経(C6・7)
長母指外転筋の触診
長母指外転筋は手首の外側(橈骨側)、母指の中手骨の近位で触れることができます。
長母指外転筋の働き
長母指外転筋は母指の外転(撓屈)に強く働き、手首の外転(撓屈)には補助筋として働きます。
母指と手首の外転(撓屈)
長母指外転筋の働き、母指と手首の外転とは母指や手が橈骨側に屈曲するので撓屈(とうくつ)とも呼ばれ、内転(尺屈)と対になる動きです。
母指の外転は母指の手根中手関節で生じる動きで50°~70°の外転が可能です。
手関節は顆状関節に分類され、前腕の骨である橈骨と手根骨(舟状骨・三角骨・月状骨)の間で橈屈が起こり、一般的に手首は12~25°橈屈が可能です。
これらの関節に橈尺関節で生じる前腕の動き(回外と回内)が合わさり、前腕から先はとても複雑な動きが可能です。
指の動きや手関節の動きには数多くの小さな内在筋も関与しますが、大きな筋肉では位置的にみると橈骨側にある筋肉が手首や四指の橈屈に関与し、大きな筋肉では長母指外転筋の他に橈側手根屈筋・尺側手根屈筋・短橈側手根伸筋・長橈側手根伸筋が手関節の橈屈に関与します。
機能強化
長母指外転筋に限らず、手の指と手首を動かす筋肉の機能強化には通じて「指立て伏せ」があげられます。
筋力強化
長母指外転筋は指立て伏せの他に、反対の手で抵抗をかけて母指を内転位から外転位に動かすエクササイズも有効です。
ストレッチング
長母指外転筋は手首を完全に内転(尺屈)させておき、手首を横切るように手掌の前面で母指を完全屈曲、内転をしてストレッチングが可能です。
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