長橈側手根伸筋は前腕後方の橈側側(親指側)を走行する筋肉で、手首を強力に伸展させ、手首の外転(撓屈)、肘関節の伸展の補助にも関与します。
長橈側手根伸筋の解説
長橈側手根伸筋は上腕骨の二か所(上腕骨外側顆上稜の遠位1/3と上腕骨外側顆)に起始部を持ち、前腕の橈側側を走行して手の甲側の第2中手骨底に停止します。
長橈側手根伸筋は短橈側手根伸筋や尺側手根伸筋と同じく、手首の強力な伸筋で、手首の伸展力や固定力はこれらの筋肉の強さに依存します。
起始部:
上腕骨外側顆上稜の遠位1/3と上腕骨外側顆
停止部:
第2中手骨底
機能:
- 手首の伸展
- 手首の外転(撓屈)
- 肘関節の伸展の補助
長橈側手根伸筋の起始部
長橈側手根の起始部は上腕骨に二か所あり、上腕骨の遠位外側の上腕骨外側顆上稜の遠位1/3と上腕骨外側顆に起始部を持ちます。
上腕骨外側顆には長橈側手根伸筋を含む手首の伸筋群(長橈側手根伸筋・短橈側手根伸筋・尺側手根伸筋)が付着し、これら3つの筋肉が収縮することで手首は強く伸展され、また手首の外転と内転にも関与します。
長橈側手根伸筋の停止部
長橈側手根伸筋の停止部は、甲側の第2中手骨底です。
長橈骨手根伸筋の主要な働き、手首の伸展と外転(撓屈)は橈骨と手根骨(舟状骨・月状骨・三角骨)が形成する手関節で生じる動きで、中手骨と手根骨が作る手根中手関節ではわずかな動きしか生じません。
神経支配
橈骨神経(C6・7)
長橈側手根伸筋の触診
長橈側手根伸筋は前腕の近位後面、手首の近位後面外側で触れることができます。
長橈側手根伸筋の働き
長橈側手根伸筋は手首を強く伸展させる筋群に含まれ、手首の外転(撓屈)にも働き、肘を伸ばす補助の働きもあります。
手首の伸展
長橈側手根伸筋の手首の伸展とは、手首を反らす動きです。
手首が前腕の後面に向かう動きが手首の伸展で、一般的に手首は65~85°伸展が可能です。
手首の動きには数多くの小さな内在筋も関与しますが、大きな筋肉では長橈側手根伸筋・短橈側手根伸筋・尺側手根伸筋が手関節の伸筋で、手の指を反らす(伸展させる)筋肉、短母指伸筋・長母指伸筋・示指伸筋・小指伸筋も手首の伸展に関与します。
手首の外転(撓屈)
長橈側手根伸筋の撓屈とは手首が外転する動きで、手首や指が橈骨の側へ向かう動きです。
大きな筋肉では位置的にみると橈骨側にある筋肉、橈側手根屈筋・尺側手根屈筋・短橈側手根伸筋・長橈側手根伸筋・長母指外転筋が手関節の橈屈に関与します。
一般的に手首は12~25°橈屈が可能です。
肘関節の伸展の補助
長橈骨手根伸筋の肘関節の伸展とは曲がった状態の肘が伸びる動きで、肘関節は動きは単純ですが非常に大きな可動域を持った関節です。
一般的に肘関節は0°の伸展位から140~150°まで屈曲が可能で、肘を伸ばす大きな筋肉は上肢の後方に位置し、上腕三頭筋・肘筋などが主に肘を伸ばす動きに関与し、長橈側手根伸筋はそれらの筋肉の肘関節の伸展の働きを補助します。
機能強化
長橈側手根伸筋のみを単独で機能強化することは困難で、手首の伸筋群としてまとめて機能強化することができます。
筋力強化
長橈側手根伸筋は短橈側手根伸筋と同じエクササイズで鍛えることができ、前腕を回内させた状態(手の平を下に向けた状態)で手にダンベルやバーベルを持ち、テーブルの端などから手首を出し手首を最大の可動域で伸展、屈曲させます。
また、長橈側手根伸筋に限らず手関節と手の指を動かす筋肉の機能強化には「指立て伏せ」が共通してあげられます。
ストレッチング
長橈側手根伸筋をストレッチするには手首を他動的に屈曲してから、わずかに内転し、前腕を回内位で肘関節を伸展させます。
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