上腕筋は上腕前部に位置する筋肉で上腕二頭筋の下を走行しています。
上腕筋は肘が屈曲する際には必ず働き、前腕が回内、回外のいずれかの状態であっても肘関節の屈曲に関与する筋肉です。
上腕筋の解説
上腕筋は回転しない尺骨に停止しているので、前腕の動き(橈尺関節の動き、回内と回外)に関係なく肘関節を屈曲させる筋肉です。
上腕筋は肘が曲がるときには必ず働き、上腕筋の上を走行する上腕三頭筋とともに肘関節を屈曲させる主働筋です。
起始部:
上腕骨中部前面
停止部:
尺骨の鉤状突起
機能:
肘関節の屈曲
上腕筋の起始部
上腕筋の起始部は上腕骨中部前面です。
上腕骨には肩甲骨から付着する肩関節を動かす筋肉や、上腕骨・肩甲骨から尺骨と橈骨に付着する肘関節を動かす筋肉、橈尺関節を動かす筋肉が付着します。
上腕筋の停止部
上腕筋の停止部は尺骨の鉤状突起です。
尺骨は上腕骨と肘関節、橈骨と橈尺関節を構成し、上腕筋が収縮することで肘関節の屈曲が起こります。
神経支配
筋皮神経(C5・6)
上腕筋の触診
上腕筋は上腕二頭筋の外側後方で触診が可能です。
上腕筋の働き
上腕筋は肘関節の屈曲のみに働く筋肉です。
上腕筋の肘関節の屈曲の働き
上腕筋の働きとは肘関節の屈曲で、主に上腕筋、上腕二頭筋のような上肢の前方の筋肉が関与します。
肘関節は屈曲と伸展しかできない蝶番関節で、一般的に肘関節は0°の伸展位から140~150°まで屈曲が可能です。
肘が20°以上曲がると骨格による安定性は低下して、肘関節は内側と外側に不安定になります。
上腕骨が動かす肘関節
上腕骨が屈曲させる肘関節は蝶番関節に分類され、屈曲と伸展しかできない関節ですが非常に大きな可動域を持つ関節です。
上腕筋が曲げる肘関節は屈曲と伸展(肘を曲げる動きと伸ばす動き)、橈尺関節は前腕を回す動き(回内と回外)に関与し、肘関節と近位の橈尺関節は位置的にも非常に近くにあり、ほぼ同時に働くので混乱を招きやすい部位でもあります。
上肢の動きには肘関節と橈尺関節、手関節が関与し、これらの関節の動きは混同されやすいので(特に肘関節と橈尺関節)、これら3つの関節はそれぞれ独立した関節であると理解しておく必要があります。
機能強化
上腕筋は上腕の力コブを作るような動き(肘を曲げる動き)で良く鍛えられますが、肘関節は0°以上の伸展はできないためストレッチングは難しい筋肉です。
筋力強化
上腕筋は肘関節の屈筋なので、腕立て伏せやカール、肘関節だけでダンベルを持ち上げるなどの動き、肘を曲げる動きに負荷をかけたりすることで鍛えることができます。
特に前腕が回内位の状態で肘を屈曲させるときには、上腕二頭筋の働きがある程度抑えられ、上腕筋の働きが顕著になります。
ストレッチング
上腕筋は肩関節を屈曲位のまま、肘関節を限界まで進展することでストレッチができますが、肘関節は0°以上伸展できないので、ストレッチしやすい筋肉ではありません。
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