棘筋(きょくきん)は椎体と椎体(背骨と背骨)をつなぐ筋肉です。
棘筋は最長筋、腸肋筋とともに脊柱起立筋を構成し、体幹の伸展と側屈に関与します。
棘筋が付着する脊柱の構造
棘筋が付着する脊柱の構造は仙骨の上に5個の腰椎、12個の胸椎、7個の頚椎があります。
腰椎は略してL、胸椎はT、頸椎はCと記し、肋骨は12対計24本あります。
背骨の一つ一つの骨を椎骨といい、一つ一つの椎骨の間にはクッションの役割を果たす椎間板(椎間円板)が組み合わさっています。
その椎体の後部の出っ張った部分が棘突起(きょくとっき)で、椎体の横の出っ張りが棘筋の付着する横突起(おうとっき)で、棘筋は椎体と椎体をつなぐ筋肉とも言えます。
棘筋の解説
棘筋は頸椎と胸椎の横突起、項靭帯から頸椎と胸椎の横突起、後頭骨に付着する筋肉です。
他の脊柱起立筋(最長筋や腸肋筋)は肋骨や仙骨、腰椎にも付着しますが、棘筋は肋骨には付着していません。
棘筋は小さい筋肉の群ですが、頭棘筋、頸棘筋、胸棘筋の3つの部位に分けられる筋肉で、頭棘筋と頚棘筋は頸椎の伸展と側屈、胸棘筋は腰椎の伸展や側屈に作用する筋肉です。
(脊柱の動きは主に頸椎と腰椎で起こり、それらの動きに比べると胸椎ではわずかな動きしかありません)
脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)は腸肋筋(ちょうろくきん)・最長筋(さいちょうきん)・棘筋(きょくきん)の総称です。
筋肉の付着部は起始部と停止部に分けられ、一般的に体幹側を起始部、もしくは動きの多い側の付着部を停止部としていますが、脊柱起立筋や腹筋のような体幹から体幹に付着する筋肉は解剖学の本によっては起始部と停止部が逆に書いてあるものもあります。
ここでは脊柱起立筋による動きの多い骨格側を停止部としています。
棘筋の起始部
項靭帯、頸椎と胸椎の横突起
棘筋の停止部
頸椎と胸椎の横突起、後頭骨
棘筋の機能
脊柱(頸椎・腰椎)の伸展と側屈
棘筋の神経支配
脊髄神経後枝
棘筋の触診
棘筋、最長筋、腸肋筋の区別は困難ですが、脊柱起立筋全体としては胸椎下部から腰椎下部で触診できます。
棘筋の働き
脊柱の動きは主に頸椎と腰椎で起こり、胸椎でも動きはありますが頸椎と腰椎の動きに比べるとわずかなものなので、脊柱の動きは腰椎の動き(腰の動き)と頸椎の動き(首の動き)と表しています。
脊柱の動きには小さな内在筋も数多く関与しますが、大きな筋肉では脊柱起立筋や腹筋群、板状筋や胸鎖乳突筋などが関与します。
脊柱の伸展
棘筋の脊柱の伸展とは体幹を後方に反らす動きです。棘筋のように体幹の後方にある筋肉が脊柱を伸展させます。
一般的に頚椎は45°伸展が可能で、腰椎は20~30°伸展が可能です。
頚椎を伸展させる筋肉
腰椎を伸展させる筋肉
- 脊柱起立筋(腸肋筋・最長筋・棘筋)
脊柱の側屈
棘筋の脊柱の側屈とは体幹が左右に傾く動きで、右に傾くのを右側屈、左に傾くのを左側屈と表します。
一般的に頚椎は左右に45°ずつ側屈が可能で、腰椎は左右に35°ずつ側屈が可能です。
頚椎を側屈させる筋肉
腰椎を側屈させる筋肉
機能強化
棘筋だけを筋力強化したりストレッチングすることは困難ですが、脊柱の伸展と側屈に負荷をかけたり、脊柱を屈曲、側屈することでトレーニングが可能です。
筋力強化
棘筋を含む脊柱起立筋は体幹の側屈や伸展の動きに負荷をかけることで筋力強化が可能です。
重力でもいいし、マシーンや他者に抵抗をかけてもらい、抵抗に逆らって体幹を側屈、伸展します。
ストレッチング
棘筋は椎骨同士をつなぐ筋肉ですから、体幹の側屈や回旋でも片側の棘筋ストレッチになります。
右へ側屈すれば左側の棘筋がストレッチされ、左へ側屈すれば右側の棘筋ストレッチができます。
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