鎖骨下筋は肩甲骨(肩甲帯)を動かす5つの筋群に含まれますが、鎖骨下筋は肩甲骨のどの動きにとっても主働筋ではありません。
鎖骨下筋は鎖骨と肩甲骨を下制するのを補助する働きとともに、上肢の運動中に胸鎖関節を保護して安定させる重要な役割を果たします。
鎖骨下筋の解説
鎖骨下筋は第1肋骨上面の肋軟骨接合部から鎖骨中央部下窩に付着する筋肉で胸鎖関節の安定のためには欠かせない筋肉です。
肩甲骨(肩甲帯)に関する筋肉を理解するためには、肩甲帯(肩甲骨と鎖骨が作るユニットで2つの骨は肩鎖関節で接合している)、胸鎖関節(鎖骨と胸骨の関節)を理解しなければなりません。
肩甲帯と肩関節は上肢の動きに合わせて同時に働きますので、混乱を避けるために肩甲骨を動かす筋群と肩関節を動かす筋群は分けて考えた方が理解しやすいと思います。
鎖骨下筋は鎖骨を胸骨の方向に向けて下に引きさげ、鎖骨と肩甲骨を下制(肩甲骨を下方に下げる動き)する補助に作用します。
これに加えて上肢の運動中に鎖骨と胸骨の接合部、胸鎖関節を保護して安定させる重要な役割も持ちます。
鎖骨下筋の起始部
第1肋骨上面の肋軟骨接合部
鎖骨下筋の停止部
鎖骨中央部下窩
鎖骨下筋の働き
胸鎖関節の安定化と保護、肩甲骨の下制
鎖骨下筋が安定させる胸鎖関節
鎖骨下筋が安定させる胸鎖関節とは鎖骨と胸骨の接合部分で、肩甲帯の動きの軸となる部分です。
肩甲骨の動きの軸は胸鎖関節であり、骨による軸骨格のつながりは唯一、胸鎖関節だけで肩鎖関節では動きは少なく、胸鎖関節では動きが大きいのも特徴です。
起始部
鎖骨下筋の起始部は第1肋骨上面の肋軟骨接合部です。
肋骨は12対計24本の肋骨があり、上部の7対は真肋(しんろく)・脊椎胸骨肋骨とも呼ばれます。
肋骨は胸椎から胸骨までつながりますが、胸骨への接合部分は肋軟骨という軟骨の組織になっています。
停止部
鎖骨下筋の停止部は鎖骨中央部下窩です。
鎖骨は胸骨と肩甲骨とをつなぐ骨で人体には左右に2本の鎖骨があります。
鎖骨は長骨に分類され、ゆるくS字状に曲がっていて上方から見れば下方内側に鎖骨下筋は停止部を持ちます。
神経支配
C5・6からの神経枝
鎖骨下筋の触診
鎖骨下筋は鎖骨の下にあり触診はできません。
鎖骨下筋の働き
鎖骨下筋は肩甲骨の下制を補助し、胸鎖関節の安定化に作用します。
肩甲骨の下制
鎖骨下筋の働き、肩甲骨の下制とは肩甲骨を引き下げる動きで、肩甲骨を下制させる筋肉には僧帽筋、小胸筋、鎖骨下筋などがあります。
機能強化
鎖骨下筋だけを単独で鍛えたりすることは困難ですが、デッピングのような下制運動で筋力強化でき、肩甲骨を過度に挙上すれば鎖骨下筋はストレッチングできます。
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