三角筋は肩関節の上方に位置する筋肉で、上肢で物を持ち上げる動作でよく使われます。
三角筋は肩甲骨と鎖骨から上腕骨に付着し肩関節を動かす筋肉ですが、肩関節の動きは肩甲帯(肩甲骨)の動きと連動していますので、三角筋のように肩関節を動かす筋肉と肩甲骨を動かす筋肉の働きは別々のものとすると理解しやすいでしょう。
三角筋の解説
三角筋は肩甲骨上部の肩峰と肩甲棘、鎖骨に起始部を持ち、上腕骨の三角筋粗面に停止する筋肉で、肩甲骨と上腕骨の関節である肩関節(肩甲上腕関節)を動かす筋肉です。
三角筋が上腕骨を引っ張るときには僧帽筋が肩甲骨をしっかりと固定させ、三角筋による上腕骨の動きに安定性を与えます。
三角筋はモノを持ち上げる動作でよく使われますが、三角筋の筋繊維の位置によりそれぞれ作用が違います。
三角筋の前部は肩関節の屈曲と内旋に働き、三角筋の後部は肩関節の伸展と外旋に働き、更に三角筋の前部は肩関節の水平屈曲、後部は水平伸展に作用します。
このように一つの筋肉で反対の動き(屈曲と伸展・内旋と外旋・水平屈曲と水平伸展)に作用する筋肉は骨格筋では多くはありません。
また、肩関節を外転させる方に上肢を持ち上げるときは三角筋全体が使われます。
三角筋の起始部
- 三角筋前部:鎖骨外側1/3
- 三角筋中部:肩峰
- 三角筋後部:肩甲棘
三角筋の停止部
上腕骨中部三角筋粗面
三角筋の働き
- 三角筋前部:肩関節の外転、屈曲、水平屈曲、内旋
- 三角筋中部:肩関節の外転
- 三角筋後部:肩関節の外転、伸展、水平伸展、外旋
三角筋の起始部
三角筋の起始部はその位置別に3か所に分けられます。
前部
三角筋前部の起始部は鎖骨の外側1/3です。
鎖骨は肩甲骨と肩甲帯を構成し、この2つの骨は別々に動くのではなく、一つのユニットとして動きます。
肩関節は単に鎖骨を通して胸鎖関節の位置で胸骨に接しているにすぎないので、肩甲骨の動きの軸は胸鎖関節であり、骨による軸骨格のつながりは唯一、胸鎖関節だけで肩鎖関節では動きは少なく、胸鎖関節では動きが大きいのも特徴です。
中部
三角筋中部の起始部は肩甲骨の外側上部の肩峰です。
三角筋のように肩甲骨に付着する筋肉などは肩甲骨の各部位を知っておくとその働きも理解しやすいと思います。
後部
三角筋後部の起始部は肩甲骨の肩甲棘です。
肩甲棘は肩甲骨後方の出っ張りで自分でも触診が可能な部位です。
三角筋の停止部
三角筋の停止部は上腕骨の外側、三角筋粗面という部位です。
上腕部には三角筋のように肩甲骨から上腕骨に付着して肩関節を動かす筋肉と、肩甲骨から肩関節・肘関節・橈尺関節をまたぎ前腕(橈骨・尺骨)に付着する二関節筋が走行しています。
神経支配
腋窩神経(C5・6)
三角筋の触診
三角筋は上腕上部で僧帽筋と上腕二頭筋に挟まれている筋肉で、はっきりと触診することができる筋肉です。
三角筋の働き
三角筋は3つの部位に分けられる筋肉で、部位別にその作用が違います。
三角筋のような肩関節を動かす筋肉を理解するには肩関節の動き、肩甲骨の動きを理解しなければなりません。
機能強化
三角筋は日常でもモノを持ち上げる動作でよく使われますので、力仕事が得意な男性は三角筋がよく発達しています。
三角筋は部位による働きが違いますので、筋力強化やストレッチングの方法も三角筋の部位により違います。
筋力強化
三角筋はダンベルを持ち上げる動作で集中的に鍛えることができますが、肩関節を30°屈曲させてダンベル・レイズを行うと三角筋の前部を、30°水平屈曲させて行うと三角筋の後部を特に鍛えることができます。
ストレッチング
三角筋前部は上腕骨を限界まで水平伸展、もしくは限界まで伸展と内転位に持っていくことでストレッチされます。
三角筋中部は上腕骨を背中の後ろに限界まで内転位に持っていくことで、三角筋後部は水平屈曲によりストレッチングが可能です。
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