尺側手根屈筋は手首を屈曲させる筋群(尺側手根屈筋・橈側手根屈筋・長掌筋)の一つで手首の屈曲に強く作用し、また尺側手根屈筋は2つある手首の内転(尺屈)筋のひとつでもあります。
尺側手根屈筋の解説
尺側手根屈筋の起始部は上腕骨内側顆と尺骨近位後面で、前腕の尺側(小指側)を走行し、第5中手骨底と手根骨(豆状骨・有鉤骨)に停止します。
尺側手根屈筋は手首の屈曲と尺屈(内転)に働き、手首の3つの屈筋群(尺側手根屈筋・橈側手根屈筋・長掌筋)として、橈側手根伸筋と共に手首の内転(尺屈)筋として共調して働きます。
起始部:
上腕骨内側顆と尺骨近位後面
停止部:
第5中手骨底と手根骨(豆状骨・有鉤骨)
機能:
手首の屈曲、手首の内転(尺屈)
尺側手根屈筋の起始部
尺側手根屈筋の起始部は2つあり、上腕骨内側顆に橈側手根屈筋・長掌筋とともに起始部を持ち、尺骨の近位後面にも起始部を持ちます。
尺側手根屈筋の停止部
尺側手根屈筋の停止部は第5中手骨底と手根骨(豆状骨・有鉤骨)です。
第5中手骨底と豆状骨・有鉤骨は手首の骨格の内側に位置するので、尺骨手根屈筋が収縮することにより手首の屈曲と内転(尺屈)の動きが生じます。
神経支配
尺骨神経(C8、T1)
尺側手根屈筋の触診
尺側手根屈筋は上腕骨内側顆から手首にかけての前腕の前方尺側(小指側)で触れることができます。
尺側手根屈筋の働き
尺側手根屈筋は手首の屈曲筋として働き、橈側手根屈筋とともに手首の内転(尺屈)筋としても働きます。
手首の屈曲
尺側手根屈筋の手首の屈曲とは、手首が前腕の前面に向かう動きで、前腕の骨である橈骨と手根骨(舟状骨・三角骨・月状骨)の間で屈曲が起こります。
手関節の動きには数多くの内在筋も関与しますが、大きな筋肉では手首だけを曲げる筋肉には3つあり、橈側手根屈筋・尺側手根屈筋・長掌筋の3つの筋肉が手関節の屈曲に関与し、これらの筋肉は全て上腕骨内側顆に起始部を持っています。
また、手の指を曲げる筋肉(浅指屈筋・深指屈筋・長母指屈筋)も指も曲げる働きとともに手首を曲げる動きにも関与し、一般的に手首は70~90°曲げることができます。
手首の内転(尺屈)
尺側手根屈筋の尺屈とは、手首の内転の動きで手首や指が尺骨の側へ向かう動きです。
尺屈(内転)は撓屈(外転)と対になる動きで、一般的に手首は25~40°尺屈が可能です
尺屈には大きな筋肉では2つの筋肉が関与し、尺側手根屈筋・尺側手根伸筋が協調して手関節を尺屈させます。
機能強化
尺側手根屈筋のみを単独で鍛えたりすることは困難ですが、手首の屈筋群として、内転筋群として他の筋肉とともに機能強化することができます。
筋力強化
尺側手根屈筋に限らず、手関節と手の指を動かす筋肉の機能強化には「指立て伏せ」が共通してあげられます。
また、尺側手根屈筋の筋力強化にはバーベルやダンベルを持って手首を可動域全体にわたり屈曲させる運動(リスト・カール)も適しています。
ストレッチング
尺側手根屈筋のストレッチングは手首の伸展と外転で可能ですが、自動的に行うよりもパートナーなどに協力してもらい、他動的に行った方がストレッチしやすい筋肉です。
尺側手根屈筋は他者により手首を伸展、外転させて前腕を回外位にして肘関節を完全伸展にします。
コメント