膝裏の筋肉、膝窩筋は小さな筋肉ですが、膝関節の安定性を保つためには不可欠な筋肉です。
膝窩筋以外の膝関節を動かす筋肉は全て二関節筋(膝関節と股関節の2つをまたぐ筋肉)ですが、膝窩筋だけは膝関節にのみ作用する筋肉です。
膝窩筋は膝関節の屈曲とハムストリングスの内側(半腱様筋と半膜様筋)を補助して下腿を内旋させる働きも持ちます。
膝窩筋の解説
膝窩筋は膝関節の後部に位置する筋肉です。
大腿骨と脛骨をつなぐ膝窩筋は膝関節の安定を保ち、膝関節の屈曲と内旋を補助する筋肉です。
膝窩筋の起始部:
大腿骨の外側顆後面
膝窩筋の停止部:
脛骨の後方内側上部
膝窩筋の機能
膝関節の屈曲、膝関節の内旋
膝窩筋の起始部
膝窩筋の起始部は大腿骨の後面にある外側顆の後面です。
大腿骨は人体で一番長い骨で脛骨と膝関節を構成し、上部では寛骨と股関節を構成します。
膝窩筋の停止部
膝窩筋の停止部は脛骨の後方内側上部です。
脛骨は腓骨と近位と遠位で靭帯結合の半関節を形成していますが、そこではわずかな動きしかありません。
下方では脛骨と腓骨、距骨とで足関節(距腿関節)を構成してます。
膝窩筋の神経支配
脛骨神経(L5、S1)
膝窩筋の触診
膝窩筋は深層にあり、腓腹筋に覆われているため触診は困難です。
膝窩筋の働き
膝窩筋はハムストリングの内側(半腱様筋、半膜様筋)を補助して膝関節を内旋させ、膝関節の屈曲にも関与する筋肉です。
また膝関節後方の安定性を保つ働きもあります。
膝関節の屈曲
膝窩筋の屈曲の働きとは、膝を曲げる動作、踵が臀部に近づいていく動きです。
正常な膝関節では一般的に約140°の屈曲が可能です。
膝関節の内旋
膝窩筋の内旋の働きとは、下腿がその長軸を中心に内側に回る動きです。
膝が完全に伸びていると内旋は不可能ですが、膝関節が30°以上屈曲をすると約30°の内旋が可能になります。
膝窩筋の機能強化
膝窩筋だけを単独で鍛えたり、ストレッチングするのは難しいのですが、常時下腿の筋肉には負荷がかかっているので、筋力強化よりも柔軟性を養いたい部位です。
膝窩筋の筋力強化
鉄棒などにぶら下がり、膝だけを屈曲させると膝窩筋を集中的に鍛えることができます。
また膝の屈曲と内旋の動きに同時に抵抗をかけるようなエクササイズでも、膝窩筋は鍛えることができます。
膝窩筋のストレッチング
膝窩筋だけを柔軟するのは難しいのですが、膝関節の完全伸展位で膝窩筋は若干、伸ばすことができます。
また、膝関節を25°ほど曲げておき、他動的に下腿を完全に外旋させることでも伸ばすことができます。
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