短母指伸筋は名称の通り、母指を伸展する筋肉です。
また、短母指伸筋は母指の伸展の働きとともに、手首の後面を走行する筋肉なので手首の伸展の補助筋としても機能します。
短母指伸筋の解説
短母指伸筋は前腕の骨、橈骨の遠位後面から手首の後面橈骨側を走行し、母指の基節骨の骨底(甲側)に停止します。
短母指伸筋は長母指伸筋を助けて母指を伸展させ、短母指伸筋は手関節をまたぐ多関節筋なので、手関節の伸展の補助筋としても働きます。
起始部:
橈骨の遠位後面
停止部:
母指の基節骨の骨底(甲側)
機能:
母指の伸展、手首の伸展の補助
短母指伸筋の起始部
短母指伸筋の起始部は前腕の親指側の骨、橈骨の遠位後面です。
橈骨と尺骨は橈尺関節を構成し、前腕の動き(回外と回内)は橈尺関節で生じる動きですが短母指伸筋は橈尺関節の動きにはほとんど関与しません。
短母指伸筋の停止部
短母指伸筋の停止部は甲側の母指の基節骨の骨底です。
中手骨から先は、四指は基節骨・中節骨・末節骨の構造で、母指は骨が一本少ない基節骨・末節骨の構造になっています。
神経支配
橈骨神経(C6・7)
短母指伸筋の触診
短母指伸筋は手首の外後面で触れることができます。
短母指伸筋の働き
短母指伸筋は長母指伸筋を助けて母指の伸展をし、手首の伸筋の補助筋としても働きます。
母指の伸展
短母指伸筋の働き、母指の伸展とは手の指が手の甲側に向かう動きで、指の伸展には数多くの内在筋が関与しますが、大きな筋肉では短母指伸筋と長母指伸筋が母指を伸展させる筋肉です。
母指の手根骨と中手骨の関節(手根中手関節)は鞍関節に分類され0~20°の伸展が可能で、中手骨と基節骨の関節(中手指節関節・MP関節)は球関節に分類され、0~40°の伸展が可能です。
手首の伸展の補助
短母指伸筋の手首の伸展とは、手首が前腕の後面に向かう動きです。
手関節は顆状関節で、前腕の骨である橈骨と手根骨(舟状骨・三角骨・月状骨)の間で伸展が起こり、一般的に手首は65~85°反らすことが可能です。
大きな筋肉では長橈側手根伸筋・短橈側手根伸筋・尺側手根伸筋が手関節の伸展に関与し、短母指伸筋はこれらの手首の伸筋の補助筋として働きます。
機能強化
短母指伸筋は長母指伸筋と同じエクササイズで機能強化が可能で、母指の進展に負荷をかけたり、母指と手首の屈曲でストレッチングすることができます。
筋力強化
短母指伸筋に限らず、手の指や手首を動かす筋肉の筋力強化には通じて「指立て伏せ」があげられ、短母指伸筋を鍛えるには屈曲させた母指の伸展に反対の手で抵抗をかけるエクササイズも有効です。
ストレッチング
短母指伸筋を伸ばすには、手首を最大屈曲位に維持し、母指の手根中手関節を他動的に最大に屈曲させることでストレッチングが可能です。
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