肩甲骨から上腕骨に付着する烏口腕筋は大きな力を発揮する筋肉ではなく、肩関節の屈曲と内転を補助する筋肉ですが肩関節の水平屈曲においては方向を定めた動きができるよう重要な役目を果たします。
烏口腕筋の解説
烏口腕筋は肩甲骨の烏口突起(うこうとっき)から上腕骨中部の内側に付着する肩関節を動かす筋肉です。
烏口腕筋の力は大きなものでなく、肩関節の屈曲と内転に作用する筋肉の補助筋ですが、肩関節の水平屈曲においては重要な働きをします。
起始部
肩甲骨の烏口突起
停止部
上腕骨の中部内側
機能
- 肩関節の屈曲:上腕骨が体幹から前方に向かい真っすぐに離れる動き
- 肩関節の内転:上腕骨が体幹に向かい内側御方向へ近づく動き
- 肩関節の水平屈曲:90°外転位にある上腕が水平に胸部に向かう動き
烏口腕筋の起始部
烏口腕筋の起始部は肩甲骨の烏口突起という部位です。
扁平骨に分類される肩甲骨の前面は複雑な形をしており、肩甲骨(肩甲帯)や肩関節を動かす筋肉を理解するには肩甲骨の各部位を知っておくと役に立ちます。
烏口腕筋の停止部
烏口腕筋の停止部は上腕骨の中部の内側です。
上腕部には烏口腕筋のように肩甲骨から上腕骨に付着して肩関節を動かす筋肉と、肩甲骨から肩関節・肘関節・橈尺関節をまたぎ前腕(橈骨・尺骨)に付着する二関節筋が走行しています。
神経支配
筋皮神経(C5・6・7)
烏口腕筋の触診
烏口腕筋の上は大胸筋が覆っていて触診は困難です。
烏口腕筋の働き
烏口腕筋は肩関節の屈曲と内転を補助し、肩関節の水平屈曲にも作用します。
肩関節は多方向に動き大きな可動域を持つ関節で肩甲帯(肩甲骨)の動きと対になって動くので、肩関節の動きを理解するには肩甲帯の動きも把握しなければなりませんが、単に肩関節の動きを上腕骨の動きとして理解するのも混乱を避けるためにいいかもしれません。
混乱を避けるため、肩甲骨を動かす筋肉と肩関節を動かす筋肉は別々のものと理解した方がよいでしょう。
屈曲
烏口腕筋の肩関節の屈曲の動きとは上腕骨が前方に向かう動きで、肩甲帯(肩甲骨)は拳上・上方回旋します。肩関節は90~100°の屈曲の可動域を持っています。
肩関節を屈曲させる大きな筋肉には三角筋(前部)、大胸筋(上部)などがあります。
内転
烏口腕筋の肩関節の内転とは上腕が体幹に向かって近づいていく動きで、肩関節の内転に伴い、肩甲帯(肩甲骨)は下方回旋します。
烏口腕筋、肩甲下筋、大円筋、広背筋、大胸筋(下部)などが肩関節を内転させる大きな筋肉です。
水平屈曲
烏口腕筋の水平屈曲の動きとは上腕が水平な位置で胸の方に近づく動きで、肩甲帯(肩甲骨)は外転をします。
肩関節は一般的に約135°の水平屈曲が可能で、肩関節を水平屈曲させる大きな筋肉には三角筋(前部)・烏口腕筋・大胸筋などがあります。
機能強化
烏口腕筋を単独で機能強化することは難しいのですが、ベンチ・プレスのように肩関節を水平屈曲させる運動は烏口腕筋を鍛えるには最適です。
筋力強化
烏口腕筋は肩関節の水平屈曲の動きで特に鍛えることができ、ベンチ・プレスやラット・プル・ダウンなどのエクササイズで筋力強化が可能です。
ストレッチング
烏口腕筋は肩関節を限界まで伸展させてもストレッチでき、肩関節の水平伸展で最もよくストレッチすることが可能です。
コメント